車の個人売買や家族からの譲渡、引っ越しなど、車の持ち主が変わる際には「名義変更」の手続きが必要です。
「手続きが面倒そう」「使用者と所有者って何が違うの?」と感じる方も多いかもしれませんが、この手続きを怠ると、後に思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
この記事では、車の手続きに不慣れな方でも理解できるよう、車検証の「使用者」と「所有者」の違いから、名義変更をしない場合のリスク、そして具体的な手続き方法まで、順を追って分かりやすく解説します。

- 1. 【基本のキ】車検証の「所有者」と「使用者」の決定的な違いとは?
- 所有者:車の「所有権」を持つ人・法人
- 使用者:車の「管理責任」を持つ人
- ローン購入時は所有者がディーラーや信販会社に
- 2. なぜ必要?名義変更しないとどうなる?放置する5つの重大リスク
- リスク① 自動車税の納税通知が前の所有者に届く
- リスク② 交通違反の通知や督促が前の所有者に届く
- リスク③ 事故の際、保険手続きがスムーズに進まない
- リスク④ 車の売却や廃車ができない
- リスク⑤ 法律違反による罰金(50万円以下)
- 3. 【完全ガイド】車の名義変更手続きの方法
- 【普通自動車の場合】手続きの流れと必要書類
- 【軽自動車の場合】手続きの流れと必要書類
- 4. 名義変更に関するよくある質問(FAQ)
- 5. まとめ:車検証の名義変更は、未来のトラブルを防ぐ重要な手続き
1. 【基本のキ】車検証の「所有者」と「使用者」の決定的な違いとは?
車検証には「所有者」と「使用者」の欄があります。この2つは役割が異なり、必ずしも同一人物である必要はありません。
所有者:車の「所有権」を持つ人・法人
文字通り、その車の 所有権を持つ人です。所有者は、その車を売却したり、廃車にしたりする法的な権利を持っています。
使用者:車の「管理責任」を持つ人
その車を日常的に使用し、保管場所の確保など、維持管理における責任を負う人です。安全運転の確保やメンテナンスの義務は使用者にあり、事故や交通違反の際の第一義的な責任者となります。
ローン購入時は所有者がディーラーや信販会社に
車のローンが残っている場合、返済が終わるまでは所有権がディーラーや信販会社に留保されているケースが一般的です。この場合、車検証は以下のようになります。
- 所有者: ディーラー、信販会社
- 使用者: 車の購入者(あなた)
この状態では、ローンを完済して所有権を自分に移す(所有権留保の解除)まで、車を自由に売却することはできません。
2. なぜ必要?名義変更しないとどうなる?放置する5つの重大リスク
車の所有者が変わった場合、15日以内に名義変更(移転登録)を行うことが法律(道路運送車両法第13条)で定められています。 もし手続きを怠ると、以下のような深刻なトラブルにつながる可能性があります。
リスク① 自動車税の納税通知が前の所有者に届く
自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点の車検証上の所有者に課税されます。名義変更をしないと、翌年度以降も前の所有者に納税通知書が届き続け、金銭トラブルの原因となります。
リスク② 交通違反の通知や督促が前の所有者に届く
駐車違反やスピード違反の取り締まりを受けた際、運転者が出頭しないと、車検証上の使用者に通知が送られます。これも前の所有者に多大な迷惑をかけることになります。
リスク③ 事故の際、保険手続きがスムーズに進まない
自動車保険(任意保険)は、主に車検証上の使用者(記名被保険者)を基準に契約します。名義が実態と異なると、保険金の支払いが遅れたり、最悪の場合、契約内容によっては補償が受けられなかったりするリスクがあります。
リスク④ 車の売却や廃車ができない
車を売ったり廃車にしたりする権利は「所有者」にあります。自分の名義になっていなければ、これらの手続きは一切行えません。
リスク⑤ 法律違反による罰金(50万円以下)
前述の通り、15日以内の名義変更は法律上の義務です。違反した場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
3. 【完全ガイド】車の名義変更手続きの方法
名義変更の手続きは、普通自動車と軽自動車で場所と必要書類が異なります。
【普通自動車の場合】手続きの流れと必要書類
- 手続き場所: 新しい使用者の住所を管轄する運輸支局(陸運局)
- 必要なもの(一例):
- 旧所有者が用意するもの
- 譲渡証明書(実印を押印)
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 委任状(実印を押印、代理人が申請する場合)
- 新所有者が用意するもの
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 実印
- 委任状(実印を押印、代理人が申請する場合)
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書、発行後おおむね1ヶ月以内)
- その他
- 申請書(OCRシート第1号様式)
- 手数料納付書
- 自動車検査証(車検証、原本)
- 手続きに行く人の身分証明書
- (管轄が変わる場合)ナンバープレート
- 旧所有者が用意するもの
【軽自動車の場合】手続きの流れと必要書類
- 手続き場所: 新しい使用者の住所を管轄する軽自動車検査協会
- 必要なもの(一例):
- 新旧所有者が用意するもの
- 自動車検査証記入申請書
- 自動車検査証(車検証、原本)
- (新所有者)住民票の写し または 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- (旧所有者)申請依頼書(認印を押印)
- (新所有者)申請依頼書(認印を押印、代理人が申請する場合)
- (管轄が変わる場合)ナンバープレート
- 新旧所有者が用意するもの
※必要書類は状況によって異なる場合があります。事前に管轄の運輸支局や軽自動車検査協会のウェブサイトで確認することをおすすめします。
4. 名義変更に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 費用は総額でいくらくらいかかりますか?
自分で手続きを行う場合、以下の実費がかかります。
- 移転登録手数料: 500円
- 申請書代: 100円程度
- 車庫証明書の取得費用: 2,500円〜3,000円程度
- ナンバープレート代(管轄が変わる場合): 1,500円〜2,000円程度
- 環境性能割(旧・自動車取得税): 車の年式や燃費性能により課税される場合がある
Q2. 平日に休みが取れない場合、どうすればいいですか?
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口は平日しか開いていません。ご自身で行くのが難しい場合は、ディーラーや中古車販売店、行政書士などに代行を依頼することができます。手数料はかかりますが、面倒な書類作成から申請まで一任できるので安心です。
5. まとめ:車検証の名義変更は、未来のトラブルを防ぐ重要な手続き
車検証の名義変更は、単なる事務手続きではありません。税金や保険、法律上の責任を明確にし、あなたと前の所有者の双方を不要なトラブルから守るための非常に重要な手続きです。
手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、この記事を参考に一つずつ準備を進めれば、ご自身で行うことも十分に可能です。もし不安な点があれば、専門家に相談しながら、確実に手続きを完了させましょう。正しい手続きが、安心で安全なカーライフの第一歩です。
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