車のトランクや床下にひっそりと搭載されている「スペアタイヤ」。いざという時の頼もしい存在ですが、「そういえば何年使えるの?」「古くても車検に通るの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。タイヤがパンクしたとき、どうしたらいいのかわからない…ということを避けるためにも、スペアタイヤの耐用年数や正しい使い方について知っておきましょう。
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スペアタイヤって何?
スペアタイヤとは、簡単にいえばバックアップのタイヤです。既存のタイヤが使えなくなった場合、一時的に取り替えて使うためのタイヤです。
スペアタイヤの3つの種類
一口にスペアタイヤと言っても、実は大きく分けて3つの種類が存在します。ご自身の車にどれが積まれているかによって扱い方が異なります。
1. フルサイズスペアタイヤ
現在車に装着されている 4つのタイヤと全く同じサイズ・ホイールのタイヤです。SUVやクロスカントリー車に多く見られます。交換後も通常通りの走行が可能ですが、重量とスペースを取るのが難点です。
2. テンパータイヤ(応急用タイヤ)
一般的な乗用車のトランク下によく搭載されている、黄色や黒の細いタイヤです。「テンパー(Temper)」とは「間に合わせ・応急」という意味です。トランクのスペースを確保するために通常のタイヤよりも細く作られており、あらかじめ高い空気圧が充填されています。あくまで応急用のため、走行速度や距離に制限があります。
3. スペースセイバータイヤ(折りたたみ式タイヤ)
テンパータイヤと混同されがちですが、さらに省スペースを追求した特殊なタイヤです。収納時は空気が抜かれてタイヤがホイール側に折りたたまれた状態になっており、使用する直前に付属のエアコンプレッサー(空気入れ)を使って指定の空気圧まで膨らませる必要があります。一部の輸入車(ポルシェやフォルクスワーゲンなど)や旧車に採用されています。空気を入れる手間がかかる点と、一度膨らませると元の折りたたまれた状態に戻すのが難しい(専用の設備が必要な場合がある)点がテンパータイヤとの大きな違いです。
スペアタイヤの耐用年数は「7~10年」が目安
タイヤはゴム製品であるため、一度も使用していなくても経年劣化します。一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)のガイドライン等においても、製造から10年経過したタイヤは、溝が残っていてもゴムの硬化や内部構造の劣化リスクが高まるため、交換が強く推奨されています。
【中古車を購入した際は必ず「製造年月」の確認を】
特に注意が必要なのが、中古車を購入したケースです。車の年式が新しく見えても、搭載されているスペアタイヤが古いまま放置されているリスクがあります。タイヤの側面には「製造番号」が刻印されており、下4桁の数字で「製造週」と「製造年」がわかります(例:「1223」なら2023年の第12週製造)。いざという時のバースト(破裂)を防ぐためにも、必ず確認しておきましょう。
いざという時に使えるか?スペアタイヤの「状態確認方法」
長年トランクに眠っているスペアタイヤがいざという時に使える状態か確認しましょう。
- ゴムのひび割れ(クラック)確認 タイヤの表面(トレッド面)や側面(サイドウォール)を目視で確認します。細かいシワ程度なら問題ありませんが、内部のコード(ワイヤー)が見えるほどの深いひび割れがある場合は、空気を充填した際や走行時にバーストする危険があるため即交換が必要です。
- エアバルブの劣化確認 空気を入れる注入口(エアバルブ)もゴム製です。バルブを指で軽く曲げてみて、根元に深いひび割れがないか確認します。ここが劣化していると、せっかく空気を入れても徐々に漏れ出してしまいます。
- カビや水分の確認 トランクの床下(スペアタイヤパン)は、結露や雨漏りなどで水分が溜まりやすい場所です。タイヤやホイールが水浸しになっていたり、カビが発生したりしていないか確認します。ホイールのサビが進行していると、強度低下やエア漏れの原因になります。
寿命を延ばす!スペアタイヤの「メンテナンス方法」
状態確認で問題がなければ、長持ちさせるために以下のメンテナンスを定期的に(最低でも半年に1回~車検のタイミングで)行いましょう。
- 空気圧の補充・調整(最重要) タイヤの空気は、使っていなくても自然に抜けていきます。特にテンパータイヤは通常のタイヤより高い空気圧が必要です。いざという時に「空気がペチャンコで使えない」という事態を防ぐため、ガソリンスタンド等で定期的に空気を補充してください。
- 清掃と乾燥 トランクから取り出し、表面の汚れを拭き取ります。濡れた雑巾で拭いた後は、風通しの良い日陰でしっかりと乾燥させてからトランクに戻してください。水分が残っていると、ホイールのサビやゴムの劣化、トランク内の異臭の原因になります。
- (背面タイヤの場合)紫外線対策 SUVなどで車の背面(外側)にスペアタイヤを背負っている場合は、直射日光(紫外線)や雨風に直接さらされるため、トランク内よりも早く劣化します。劣化を防ぐために、専用のタイヤカバーを装着することを強くおすすめします。
テンパータイヤ使用時の「3つの鉄則」
万が一テンパータイヤを使用せざるを得ない状況になった場合、以下の制限を厳守してください。
- 速度と距離の制限: 最高速度は時速80km以下、走行距離は100km以内が目安です。
- 装着位置の注意: 駆動輪(エンジンの動力が伝わるタイヤ)には装着しないのが基本です。デファレンシャルギアなどに負担がかかり、車両故障の原因になります。(例:FF車で前輪がパンクした場合、後輪の正常なタイヤを前輪に移動させ、スペアタイヤを後輪に装着します)
- 早急な本タイヤへの交換: 応急処置後は、できるだけ早く近くの整備工場やガソリンスタンドへ向かい、正規のタイヤの修理・交換を行ってください。
【Q&A】スペアタイヤに関するよくある疑問・車検基準
スペアタイヤの耐用年数を気にする方の多くが、「古いままだと車検に通らないのでは?」という不安を抱えています。
Q: スペアタイヤが古くても、あるいは積んでいなくても車検は通る?
A: 乗用車の場合、通ります。
現在の日本の保安基準では、一般的な乗用車におけるスペアタイヤの搭載義務はありません。そのため、スペアタイヤを積んでいなくても、古くて劣化していても、それが原因で車検に落ちることはありません。 ※ただし、大型トラックなどの一部の大型車両では、落下事故防止の観点からスペアタイヤの点検が義務化されています。

いざという時に慌てないために
しかし、「車検に通るから安全」というわけではありません。パンクはロードサービス出動理由でも常に上位に入る頻発トラブルです。いざという時に命を守る装備として、万全の状態にしておきましょう。
スペアタイヤもパンク修理キットも、ドライバーを助ける「命綱」です。 まずはご自身の車のトランクを開け、「どの種類の備えがあるか」を確認すること。そして、それぞれの「耐用年数」「空気圧」「状態」をチェックすることが、安全なカーライフへの第一歩です。
ご自身での確認が難しい場合や、ひび割れなどの不安がある場合は、最寄りのガソリンスタンドまでご相談ください。定期的な点検で、万が一の事態に備えておきましょう。
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